ロングドレス9号
ロングドレスの9号を着ることができなくなってしまったのは、いつの頃からだろう。
あのロングドレスは、以前の彼氏がプレゼントしてくれた印象深いドレス。
ロングドレスを9号から11号にサイズを直してもいいのだけど、あの頃の自分に大笑いされるようで、直せない。
初めてのフレンチ料理店には、あのロングドレスを身に付けて出かけた。
ロングドレスなんて普段着ないから、上手に歩けなかったのを今でも鮮明に覚えている。
建築家だった彼が呼ばれたパーティへ私も一緒に行くために、表参道にあるショップで買ってもらったんだよね。
そのときの私は、まるで映画のヒロインのようだった。
彼が私のために選んでくれたロングドレス。
値札を見てびっくりだったけど、それよりも9号とは考えられないようなスリムなデザインに、内心ドキドキしながら試着したんだっけ・・・、着ることができてホッとした。
恋する女がどんどん美しくなっていくというのは誠のことで、あの頃の私は、いつでもロングドレスを身に付けられる体型だった。
失恋すると同時に、9号を着ることのできる体型も失ってしまったのかな。
恋を失ったばかりの頃はいつも泣いていて、食欲も落ちてしまった。
けれど、少しずつ遠い思い出になっていった。
腹も減るし、睡魔にも勝てなかった。
やっぱり、あのロングドレスはサイズを直さず9号のまま、甘酸っぱい思い出と一緒に箪笥の中にしまっておこう。